民法(相続法)の改正について(その10)

 民法(相続法)は、日本の高齢化の進展や社会経済活動の変化に対応して、残された配偶者の生活に配慮するなどの観点から、昭和55年以来、約40年ぶりの相続に関する大改正・見直しが行われ、平成30年7月6日、可決・成立し、平成30年7月13日に公布されています。

 今回はそのうちの、「配偶者短期居住権」の創設についてです(民法第1037条~第1041条)。

1.概要

 相続が発生した場合に,被相続人の所有する建物に居住していた配偶者が,直ちに住み慣れた建物を出て行かなければならないとすると,精神的にも肉体的にも大きな負担となります。
このため、被相続人が所有する建物に居住していた配偶者が,引き続き一定期間,無償で建物に住み続けることができる権利(使用借権類似の債権)として「配偶者短期居住権」を取得させることとされました。
一定期間は民法第1037条で、次のとおりとされています。
(1) 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 
遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日
(2) (1)以外の場合 
「配偶者短期居住権」の申入れの日から6か月を経過する日

2.施行日

 施行日は令和2年4月1日です。