「インボイス制度(適格請求書保存方式)」での消費税額の計算方法は、
・税率ごとに集計した取引金額を割り戻して計算する方法
・「適格請求書(以下、インボイス)」に記載した税額を積み上げて計算する方法
のいずれかの選択となります。
税額計算についても税率ごとに区分して計算することが必要となります。
1.売上に係る税額の計算
(1) 原則 「割戻し計算」
① 税率ごとに区分した課税資産の譲渡等の税込み金額の合計額からそれぞれの課税標準額を算出します。
② ①の金額に7.8/100(軽減税率対象の場合は6.24/100)を乗じて計算します。
③ 売上税額を「割戻し計算」により計算する場合は、仕入税額は「割戻し計算」と「積上げ計算」のいずれかを選 択できます。
(2) 特例 「積上げ計算」
① インボイスに記載した消費税額等の合計額に78/100を乗じて算出します。
② 「適格請求書発行事業者」のみ適用可能です。
③ 売上税額を「積上げ計算」により計算する場合は、仕入税額も「積上げ計算」により計算しなければなりません。
④ 交付したインボイスまたは簡易インボイスの写しの保存が適用要件です。
⑤ 現行制度の経過措置「積上げ計算」の特例は廃止されます。
2.仕入に係る税額の計算
(1)原則 「積上げ計算」
① インボイスに記載された消費税額等の合計額に78/100を乗じて消費税額を算出します。
② 売上税額を「積上げ計算」により計算する場合は、仕入税額も「積上げ計算」により計算しなければなりません。
(2) 特例1 「帳簿積上げ計算」
① 課税仕入れの都度、課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減の場合は108分の8)を乗じて算出した金額(端数処理は切捨てまたは四捨五入)を仮払消費税とし、帳簿に記載している場合、その金額の合計額に100分の78を掛けて算出します。
帳簿に記載した消費税相当額の合計額×78/100となります。
(3) 特例2 「割戻し計算」
① 税率ごとに区分した課税仕入れに係る支払対価の額の合計額を算出します。
② ①の金額に7.8/100(軽減税率対象の場合は6.24/100)を乗じて計算します。
③ 売上に係る税額の計算において「割戻し計算」を適用している場合にのみ採用できます。